31.涙の味

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骨髄の点滴は翌日のお昼前に完了した。変わらず体調は酷かったが、ひとまず無事本番を終えた安堵感と、生着という次の重要な節目を乗り越えることに意識が向かっていた。

そこから何日かかけて徐々に白血球、赤血球、血小板が減っていく。骨髄移植の3日後から輸血が始まった。1マイクロリットルの血液中に赤血球は8.0、血小板は2万を下回ると輸血をする必要があるそうだ。毎日採血をして数値に応じて輸血を受け続けた。

こちらは赤血球の輸血

こちらが血小板の輸血。血小板は黄色だなんて初めて知ったよ…!

学生の頃、ハーゲンダッツ目当てに献血に通っていたけど笑、まさか数年後自分がお世話になるとは思わなかった。血を提供してくださったボランティアの方々、ありがとうございます。皆様のお陰で命が繋ぎとめられています…。感謝。

そこから数日後にはついに白血球が100以下になった。白血球がないという体感はないものの正真正銘、無防備な状態。空気中の微生物でさえ、命を脅かす敵になる。だからお手洗い以外はお屋根の中でじっとしていないといけないのだが、無菌隔離になって何日もすると精神的に苦しくなってきた。じっとするのが平気という人もいると思うが、じっとするのが苦手な私にとってはとても苦痛だった。無機質な白い空間の中で耳に入ってくるのはアイソレーターから空気が出てくるサーという音だけ。せめて外の景色が見たい…と看護師さんの目を盗んで部屋にある窓に移動して景色を眺めていたら、その度に看護師さんに見つかり

「なべさん!!ダメですよ!!早くベッドに戻ってください!!」とよく怒られていた笑。(決して真似してはいけません)

そのころには急性拒絶反応(GVHD)と思われる下痢や粘膜障害が少しずつ出だした。口の中、喉から食道にかけてのあたりがヒリヒリ痛む。骨髄移植から10日後には口の粘膜障害がピークになり、口の中全体が白っぽくただれて唾を飲み込むのも涙が出るほど痛かった。薬を飲み込むのも痛くて痛くて、その度に般若のような顔になっていた笑。

その痛みは数日続いたものも、1日また1日とちょっとずつ良くなっていった。元のように食事が取れるようになった時には、ご飯を食べながらボロボロ泣いた。水が飲めること、口からご飯が食べられること、味わえること。それがこんなに尊くありがたいことだなんて全然知らなかった。その時のご飯の美味しさは一生忘れることはないだろうな。

こちらはよく受けていたアルブミン製剤の点滴。ジャムの瓶みたいだな~と思って
眺めていた笑。

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